朝ドラ『ばけばけ』を見ていると、独特な“語り”に気づいた方も多いはず。
定番の「語り手」の声ではなく、CGで登場する蛇と蛙が物語に絡んでくるのです。
では一体、誰が声を担当しているのか?なぜ蛇と蛙なのか?その疑問を整理してみました。
- 朝ドラ『ばけばけ』のナレーションは誰が務めているか
- なぜ蛇と蛙なのか

ナレーションを担当するのは阿佐ヶ谷姉妹
蛇と蛙の声を担当しているのは 阿佐ヶ谷姉妹 のお二人です。
- 蛇:渡辺江里子
- 蛙:木村美穂
しかしオープニングにあるクレジットには「語り」や「ナレーション」ではなく、それぞれ「蛇」「蛙」として表記されていました。
制作統括の橋爪國臣氏は、インタビューで次のように説明しています。
「語りとして何かを語っていく人というより、物語の中にいて、物語の登場人物として一緒に見守ってほしいという思いがあり、あえて語りとは書かず、蛇と蛙にさせていただきました」
https://news.mynavi.jp/article/20250930-3499204/
庭に住む蛇と蛙が、主人公トキとヘブンを見守り、時に語りかける──従来の「ナレーション」というより、物語世界の“登場人物”として機能しているのが特徴ですね。
なぜ蛇と蛙なのか?制作側の意図
ナレーションではなくキャストの一員である蛇と蛙。
さらに、この蛇と蛙には 小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)との縁 が込められています🐸
- 八雲の家の庭には蛇と蛙がいたとされる伝承がある。
- 池の蛙を助けるため、八雲が蛇に自分のおかずを与えたという逸話が残されている。
- 八雲自身が蛙をモチーフにした自画像を描いていた。
こうした背景から、蛇と蛙は「八雲夫妻の物語を象徴的に見守る存在」として設計されているのです。
☞☞小泉八雲旧居(ヘルン旧居)隣には小泉八雲記念館もあります。
CGでの登場と語りの工夫
蛇と蛙はCGで登場し、神出鬼没に画面に現れます。
語りだけではなく、時に合いの手を入れたり、軽妙なやりとりをしたりと、漫才的な掛け合いで物語を彩ります。
これにより、重いテーマのシーンでも視聴者をリラックスさせたり、物語のテンポを和らげる効果が狙われているそうです。
その役目は阿佐ヶ谷姉妹さんにピッタリですね✨

筆者の考察:なぜ“蛇”と“蛙”なのか?
公式発表だけでは設計意図の細部まで語られていませんが、私は以下のように考察します😊
- 語りと相互補完性
蛇と蛙という2体を用意することで、語りの緩急や役割分担が可能になります。
蛇が主語りを担い、蛙が相槌や疑問を差し挟むことで、視聴者に寄り添った“掛け合い”が生まれるのです。 - 自然・庭という場の象徴性
物語世界の中で“庭に住む”存在として設定されている点は象徴的です。
庭という空間から、登場人物を内外両面で見守る視点を持ちやすくしています。 - 怪談・昔話・寓話との響き
蛇や蛙は昔話や民話にもよく登場するモチーフです。
怪談をモチーフとする『ばけばけ』において、観客を「昔話的世界観」へ導く役割を担っているとも考えられます。 - 視聴者と物語をつなぐ媒介者
完全な外部ナレーションではなく、物語世界に属するキャラクターとして語りかける設計により、視聴者をより深く物語へ没入させる効果があると考えられます。
これらはあくまで筆者の視点による考察ですが、『ばけばけ』が提示する語りの仕組みを理解するうえで、ひとつの読み方になるでしょう。
結論:『ばけばけ』における“語り”の新しい形
- 『ばけばけ』には従来のような「別立てのナレーター」は存在せず、蛇と蛙=語り手キャラクター がその役割を担っています。
- 声は阿佐ヶ谷姉妹が担当し、単なるナレーションではなく“登場人物的存在”として画面に現れます。
- 蛇と蛙のモチーフは、小泉八雲の伝承に基づいており、物語を象徴する存在としての意味が込められています。
『ばけばけ』は、視聴者を“物語の内側に招き入れる語り”の新しい形を提示していると言えるでしょう。